Spider
張り巡らされた糸は 出口を塞ぐ
眼の前にいるのにもかかわらず 動こうともしないのだ
今だとばかりに圧制をかける 動きは俊敏だ
一瞬で反対方向へと進み 見えるか見えないかの場所へ
また出口を塞いだのだ そこから一歩も動かない
夢を見た 大きな足を広げ 自由に壁を這う
人間は届かず ただその姿を追い続けることしかできない
なぜ追いかけているのだろう 被害など加えていないではないか
いや もし卵でも生まれたら もし足で踏んでしまったら
もしを想像できる人間が選ぶ手段は 追うことのみだ
夢から覚め 友人が同じような夢を見たと語った
偶然にも 昨年山へ出かけた時の動画を見た時
空中を這うものが 写っていたのだ
そして終いには帰宅後の 部屋前に
想像もしていない 夢の現実が目の前で起きている
今日は忘れられない スパイだ スパイだ